『句会入門』長谷川櫂著(講談社)を読んだ
実際の句会の様子を、いわゆる文字起こしした新書。
きわめて実践的な句会の手順が事細かに書かれていたり、実際の講評の部分が収録されている。句作のためにも大いに役に立ちそう。
同人のメンバーによる句に、著者が講評をつける部分がとてもおもしろい。慣れ親しんだメンバーであるのだろう、遠慮なく直截にダメ出しをする。
ビードロに一輪挿の椿かな 二本
(中略)
櫂 ビードロって何?
啓示 ガラスです。
櫂 見たままなんだろうけど、すっきりしてないんだ。おそらく詠み方というよりも素材の問題。ビードロの花瓶に椿なんて悪趣味じゃないか。(pp. 44〜45)
本にするために1年かけて計15回の句会を開いている。春・夏・秋・冬・新春とすべての季節の句会を楽しめる、とても親切なつくり。
一流の俳人の取り仕切る句会の雰囲気がよく分かる、良書だった。