『寺山修司の「牧羊神」時代 青春俳句の日々』松井牧歌著(朝日新聞出版)を読んだ
寺山修司の直接の知人で、書名にある俳句同人誌「牧羊神」を発行していた著者。なので俳句評論ではなく、回想録の側面が強い。
直接やり取りした手紙などが使われており、とても生々しいというか活き活きとした記録。
とはいえ一章を割いて、いくつかの寺山俳句の評論をしているのはさすがに著者自身も俳人であるがゆえか。句のセレクションもちゃんと載っている。
にしても寺山の、高校生俳句コンクールを起ち上げたエピソードはいつ読んでも圧巻だと思う。実現させただけでもすごいのに、それだけでなく選者に揃えたのが不死男、赤黃男、橋本多佳子に三橋鷹女だっていうのだから。
行動力ハンパない人だったのだなと。
高校生時代の寺山の手紙。あどけなさがある。
お元気ですか。
便りないので心配してます。逢いたいんです。
腹をわって未来の話。文学論。女の子のこと。じゃんじゃんしゃべりたい。(p.120)
実際の手紙(もちろん直筆)の写真が載っていたりして、それもいい雰囲気。意外に字が可愛らしかった。