『加藤楸邨句集』森澄雄ほか編(岩波書店)を読んだ
読んだ、とは言っても量が量なので、拾い読みしてみただけの段階。
加藤楸邨の全句約9400句から約3000句が収録されており、550ページほどの厚さ。
岩波文庫で550ページなのでわりと厚めに感じるけど、文庫サイズなのでまあコンパクトにまとまっていていい。
加藤楸邨に辿り着いたのは金子兜太の師だからという理由だけだったけど、読んでみるととても気に入った。
兜太と比べると、全体的にかなり硬派な印象を受ける句が多い。
身の回りの事物に対する視線はとても申請である一方で、形式的にはむしろ保守的と言ってもいいぐらいの言葉の並べ方をしているように思う。
遊びがない、といえばそうもいえるが、この厳しさ、鋭さはそれを補って余りある魅力がある。
とりあえず今パラパラとめくって、目についた何句かを引用しておく。
一本の鶏頭燃えて戦終る
「見えたる物の光」茶の花芯ともり
冬苺あきらめしものは美しき
猫に名をあたへて我はしぐれをり
ふくろふに真紅の手毬つかれをり
塔消えて蝶のことばは曲線のみ
木の実独楽はるかな音の中にあり
ふくろふに〜の句は、楸邨の代表句のひとつとして引用されることが多い。