『幻の近代アイドル史: 明治・大正・昭和の大衆芸能盛衰記』笹山敬輔著(彩流社)を読んだ
素直におもしろかった。
とはいえ(たぶんよくある感想だろうけど)、やっぱりいま最先端のアイドル用語を使いすぎではないかと思うところも。
そのことによって例えば、興味深い事例を掘り起こしてきた興味深い本であるにも関わらず、軽く消費され消えていっててしまう可能性があるのではという感じが個人的にはした。
つまり、流行り廃りの激しい言葉を使いすぎることにより、息の長い本になりにくいのではという危惧。
もちろんそのことによって、この本の訴求力の強さが生み出されているのもおそらく確かだとは思う。
なので結局はバランスの問題かとは思うけれど、ぼくの個人的な好みではもう少し控えめにしたほうがよかったのではと思う(個々の事例がおもしろいだけになおさら)。
なんとなく、功を焦っているのかな〜というか、そんなにおいがした。
とはいえ、描写もとても生き生きとしていて引き込まれた。
薄い本ですぐ読みきれるのも魅力か。
あとは類似性が強すぎて、差異が見えにくかったというぐらい。
「あ〜今と同じだな〜」っていうのは星の数ほどあり、著者もそこを強調した書き方をしているけれど、「あ、ここは違うんだな」っていうのはほとんどなかったように思う(見逃しでなければ)。
戦略だろうとは思うけど、もう少し中立的な視点があれば何年かあとに読み返しても同じように楽しめたかなあと思った。